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ハンコと登記

2020.11.06

 オールフォーワングループの芝田です。

 テレワークの普及とともに、在り方が見直されているのがハンコです。ハンコ不要論まで言われていますが、私たちの携わる「登記」の世界では、現状、ハンコはとても重要です。

 例えば不動産登記令には、要約すると「登記申請時に添付する委任状には記名押印せよ」と定められており、押印を原則としています。条文をよく読むと押印の代わりに署名でも良いのですが、実務的にはまず間違いなく押印をいただいている状況です。

 さらに特定の登記申請においては、「押印した者の印鑑証明書を添付せよ」と定められており、この場合はいわゆる実印(=市区町村で登録したハンコ)での押印が必須になります。例えば不動産を売却する場合や不動産を担保に供する場合などがそれに該当します。また、相続による不動産の名義変更の際に添付する遺産分割協議書にも実印の押印が必要です。このように法令で決まっている以上、当然印鑑が一致しないと登記は受け付けられませんので、実印が必要な登記申請では、その印鑑が実印かどうかの確認はとても気を使うところです。

 他にも法令上押印を要求している場面はよく出てくるので、ハンコは登記業務とは切っても切れない存在です。今のところハンコが完全に無くなるのはちょっと想像できないですが、とはいえ今後、印鑑制度に代わる制度や仕組みが普及していくのだと思います。ただそれには法令の整備が必要ですし、広く定着するのには時間がかかるでしょうから、登記の世界では当分の間ハンコが活躍することになりそうです。

 デジタル化の波に乗り遅れないよう常にアンテナを張り動向を見守りたいと思います。

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